「トゥルー・ロマンス」  1993年  アメリカ

監督;トニー・スコット
出演;クリスチャン・スレイター,パトリシア・アークェット,デニス・ホッパー,クリストファー・ウォーケン
2009年11月?日  DVD  自宅ごろ寝シアター

dvd ある夜、クラレンスはコールガールのアラバマと恋に落ちた。彼は、アラバマのヒモのところへ彼女の荷物を奪いに行くが、間違ってコカインの入りのバッグを持ってきてしまう。
モテないオタクの前に、突然、美女があらわれて、100%自分に尽くしてくれる。彼女と幸せになるために、マフィアに追われながら逃避行。脚本はタランティーノだが、ヴァイオレンスに純愛って…ストーリーは少年マンガレベルである(いや、最近のマンガの方がまだマシかもしんない)。もちろんタランティーノらしい洒落れたセリフ、駆け引きの面白さはあるけれど、コミックストーリーをここまで面白くしたトニー・スコット監督と出演者たちがえらい。このシナリオ、下手な監督が大根役者で撮ったらVシネマ以下になると思うよ。
ラブシーンはめろめろロマンチックに、駆け引きはじっくりと見せ、バイオレンスは相手が女だろうが徹底してボコボコにする。ピンクのキャデラックと派手な衣装の主人公の立ち位置までもビシッと決めるような、画づくりへのこだわり。ストーリーは安っぽくても、シーンにメリハリがあり、展開はスピーディ、映像はクールで、まったく飽きさせない。
主役のクリスチャン・スレイターは、『薔薇の名前』など子役時代から手堅い作品に出演し、高い評価を受けてきた。しかし、イモっぽくて華がないため、実力の割にはパッとしない。悶々としているオタク青年役にぴったりのイメージ。そして、主人公以上に映画ファンを唸らせるのが脇を固める俳優たち。ゲイリー・オールドマン、ブラッド・ピッド、デニス・ホッパー、クリストファー・ウォーケンなど。個性的で、主役を張れる演技派俳優たちが、たかだか十分程度の出演シーンで、クラクラするような演技を見せている。特に、どの映画評でも絶賛されているのが、ウォーケンとデニス・ホッパーの駆け引きシーンである。崖っぷちになるほどに余裕をかますデニス、怒りがこみ上げて笑うしかなくなるウォーケン。二人の間の取り方、緊張感といったら、全体のストーリーの流れを忘れさせ、そのたった1シーンだけに観客をぐーっと引き込んでいくような凄みがある。このシーンのためだけに本作を見る価値は十分にあり
主人公クラレンスは、若い頃、ビデオ店で働きながらB級映画を見まくっていたというタランティーノ自身と重なる。彼の出世作となる『パルプ・フィクション』が94年。本作は、なかなか芽が出なかったオタク青年タラちゃんが、ダサくたってヒーローになれるんだぜぃっ!と、日頃の鬱憤を発散するように書いた脚本なのかもしんない。

Cinema Diary Top