「エコール」  2004年  ベルギー・フランス・イギリス・日本

監督;ルシール・アザリロヴィック
出演;ゾエ・オークレール,ベランジェール・オーブルージュ,マリオン・コティヤール
2011年12月30日  DVD  自宅ごろ寝シアター

dvd

深い森のなかにある学校。外の世界から隔離され、6才から12才までの少女たちが、生物とダンスだけを学んでいた。
現実の世界では、物心つく頃には男と女がいるということを知っていて、異性を意識しはじめる。幼いなりに特定の異性を好きになったり、恥ずかしがったり、異性の気を引こうと自分を演出したり…ということを自然に身につけてしまう。その分、少女としての純粋さは、気がつかれないほど少しずつかもしれないけど、確実に、不可逆的に失われていく。しかし、この映画の少女たちは男の存在がまったくないところで純粋培養されている。何の制約もなく、思う存分に少女性を発揮させている少女たちの園。深い森のグリーン、白い制服、ミニスカートからのぞく華奢な足、色とりどりの揺れるリボン…美しい映像で、汚れなき少女たちの園という幻想的な世界が創りあげられていく。ロリコン趣味ではあるけど、女性監督なので、この手の趣味の方が期待するようなエロさはないよ。
本作が成功している点は、少女たちが何の目的でここにいるのかを語らなかったこと。しかし、おぼろげながら想像はさせる。このさじ加減が絶妙。美しさのなかに、秘密や不幸や悲しみが沈殿しているような空気感、少女たちの運命への薄ぼんやりとした不安…。私は内容云々よりも、この映画がかもし出す、何処となくアンチモラルな、秘密めいた、想像力を刺激される雰囲気に魅せられた。
原作は、フランク・ヴェーディキント『ミネハハ 秘密の森の少女たち』1903年。同じ原作で、もう1本映画が作られている>ジョン・アーヴィン監督の『ミネハハ 秘密の森の少女たち』(2005年)。DVDは入手できなかったが、私はネット動画で鑑賞。原作がどこまで語っているかは知らないけが、『エコール』では匂わせるだけで、見る人の想像に任せていた部分を、すべてぶっちゃけたら、陳腐で、えげつないロリコン映画になっちゃった…って感じの映画。そして主人公が可愛くない…orz。『エコール』の翌年に公開で、しかも映画の出来は『エコール』>>>>>『ミネハハ 秘密の森の少女たち』なわけで、どういうつもりで作ったんだろうと思ってしまったよ。あ、でも懐かしい女優さんが出演してた。学校の校長先生役にジャクリーン・ビセット。お年を召しても美しかったです。

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