「しあわせの雨傘」  2010年  フランス

監督;フランソワ・オゾン
出演;カトリーヌ・ドヌーヴ,ジェラール・ドパルデュー,ファブリス・ルキーニ
2011年5月3日  下高井戸シネマ

dvd 77年フランスの地方。スザンヌは雨傘工場の経営者を夫に持つブルジョア奥様。夫や子供たちからは「お飾りの妻」と見下されていた。ある日、工場のストライキ中に夫が心臓発作で倒れ、スザンヌがやむなく経営を引き継ぐが、彼女流の経営方針で従業員の信頼を得て業績大幅アップ!。そんな折、夫が退院して帰ってくる。
女性の自立をコミカルに描く。原題は「飾り壺」。美しいだけで何も役立たない、夫を引き立てるだけの「飾り」という意味かしら。そんなスザンヌが、実は若い頃からしたたかで、人の心を掴むのがうまくて、本気出したらトントン拍子に社会での自分の居場所を獲得していく。自己中心的で亭主関白の夫、自信過剰の元カレを見返していく様子は、気持ちが良い。そんな女だと思わなかった…なーんて口をあんぐり開けている男どもは、「飾り壺」の中味をきちんと見ようとしなかったってことさ。
そしてオゾン監督のドヌーブリスペクト映画。前にも書いたと思うけど、オゾンは女優の魅力を引き出す天才。恋多き女、ブルジョワ妻から社長、果ては議員への転身と、いかにもドヌーブらしい貫禄や華やかさを見せつつも、一方では三本線の赤ジャージを着せたり、ディスコミュージックで歌って踊らせたり、こんなドヌーブ様見たことがない!っていう可愛らしさまで引き出しちゃう。観客大喜び!。雨傘工場という設定は『シェルブールの雨傘』へのオマージュなのだろう。私は、『シェルブールの雨傘』で自己主張できずに幸せになれなかった女の子が、こんなふうに年を重ねていたらいいなと思った。

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